お食事ウォーズ

お食事ウォーズ




 ある日、おにぎりを眺めていた山田さんが一言。
 
 「おにぎりってさ、凄くない?」

 それを聞いた後藤さんは山田さんの突拍子な言葉に一言。

 「・・・そんな発言をかます山ちゃんが凄いよ。」

 山田さんは続けました。
 
 「おにぎりはね、あの三角形といい大きさといい手にフィットする感といい全てにおいて凄いんだよね。」

 「いや、同意を求められても・・・。」

 そして伊地知さんも入ってきました。
 
 「ゴッチ、山ちゃんはおにぎりに小宇宙を感じている凄いお方なんだよ。」

 「確かに凄いね・・・。ついていけない感じ。」

 山田さんはおにぎりについて熱く語りはじめました。

 「それに種類が豊富だし、飽きが来ないのも魅力的なんだよね・・・est」

 後藤さんはそろそろついていけなくなりました。
 その時遅刻してきた喜多さんがやっとスタジオに現れました。

 「いやー遅刻しちゃったよ参ったねあっはっはー、あ、これお詫びの品。」

 といって袋を机にのせました。中身はおにぎりです。
 梅におかかに明太子といった品が勢ぞろいです。

 「もうそろそろ昼だし、食べようかな。」

 後藤さんはボソっと一言言いました。
 それを聞いた伊地知さんは即座に後藤さんに耳打ちしました。

 「ゴッチ駄目だよ、一番初めに山ちゃんが選ぶんだよ。」

それを聞いた後藤さんは何故山ちゃんが一番に選ぶのか不思議でした。
 
 「山ちゃんはおにぎり奉行だから俺らが先に手をつけたら怒られちゃうじゃん。」

 伊地知さんは言いました。
 後藤さんは何故十年も一緒に居た仲なのに十年目にして山田さんの知られざる性格を知ってしまったのだろうと
 若干の壁を感じてしまいました。
 
 「山ちゃん先に選んで良いよ。」

 と喜多さんが言いました。
 それを聞いて山田さんは袋のなかを覗きました。
 それを横から見ていた後藤さんは見つけてしまいました。
 『昆布』と書いてあるおにぎりを。
 後藤さんは今とてつもなく昆布を食べたい気分になりました。
 しかし今の選択権は山田さんにある為、取られる可能性も考えられます。
 どうしても食べたい後藤さんの気持ちもつゆ知らず、山田さんは昆布を見つけてしまいました。
 それに気付いた後藤さんは我慢できずに言ってしまいました。

 「ねぇ、山ちゃん。じゃんけんしない?」

 後藤さんの突然の発言に慌てた喜多さんと伊地知さんは後藤さんに耳打ちしました。

 「なんてこといってんだよゴッチ!山ちゃんの至福の時間を奪う気なの?!」

 「そうだよ!これは一種の宣戦布告だよゴッチ!!」

 後藤さんはやっと気付きました、山田さんとおにぎり選択権を争うという事は戦争に発展するということを。
 しかし後藤さんも男。プライドがあります。
 
 「だって、食べたいんだもん昆布。」

 「なにオレの『だって好きなんだもん!』風に言ってんの。」

 「山ちゃんはおにぎりの戦闘機『オニギリロボ』を発案した第一人者なんだよ、おにぎりに対する情熱はオレらの
  中では一番強いんだよ!ねーケンチャン。」

 「そうだよゴッチ、ここは山ちゃんに譲るべきだよねーキヨシ。」

 山田さんの偉大さがどれだけの物かしみじみ分かったけれど、どうしても昆布が食べたい後藤さんは山田さんに交渉
 してみる事にしました。しかし先ほどの二人の話を聞いたので、なかなか言い出せません。
 そうしているうちに山田さんはおにぎりを選んでいます。
 後藤さんは焦ります。そして山田さんの目に昆布が止まりました。
 そして山田さんはそれに手を伸ばしました。
 ああ、もう終わりだ。昆布よ、さようなら・・・。
 後藤さんは目を閉じて心の中で別れを告げたとき、山田さんがゴッチの肩をポンと叩きました。
 
 「ゴッチ、これ食べたいんでしょ?あげるよ。」

 その言葉を聞いた三人は顔を見合わせて言いました。

 「山ちゃん流石!優しいね!!」

 「ゴッチのような欲望の塊なんかじゃないね!ゴッチもお礼言わなきゃ。」

 少々驚いたけど山田さんの優しさに触れてアジカンやっててよかったと後藤さんは思い、顔を上げました。
 しかし山ちゃんの手にあるのは『シーチキン』と書かれたおにぎり。
 後藤さんはもう脱力。
 それを見ていた喜多さんと伊地知さんは後藤さんの肩を叩き一言。

 「あなどれないね、流石山ちゃん。」

 ええとっても!!と心の中で(泣き)叫ぶ後藤さんなのでした。
 そのあと山田さんは悠々と昆布のおにぎりを頬張ったのは言うまでもありません。
 






 終






 *後書*
 お粗末。とっても下らないけどなかなか書いてて楽しかった。
 自己満足主義な管理人だから仕方ないです。
 まぁ山ちゃんの『オニギリロボ』に度肝を抜かれた記念、的な駄文。
 最後までお付き合いいただきありがとうございました。